2018/09/18

丹波布の大切な仕事

 
 
 
 
 
 
 
茶綿を紡いで分かったことがいくつかあります。

いくつかでは無く、いくつも!かも知れません。



 
和綿は繊維が短いので、
 
現在丹波布で多く使われることはありませんが、
 
和綿には和綿の良さがあります。

それは、一言で言えば、綿自体の持っている弾力性じゃないかと思います。
 
 
 
 
古丹波布の独特の柔らかさ(ふっくら感)は、
 
必ずしも使い込まれて出てくるというものでは無いように思います。
 
それと同時に、繊維の短さを、織りの際補うためにこそ、
 
丹波独特の機(ハタ)を使っていたのでは無いでしょうか?
 

私の知る限り、昔の機(ハタ)を復元されている人は、
 
師匠・福永世紀子先生以外にありません。

それは地機(ジバタ)の良さを取り入れるように工夫されたものです。
 
また古丹波布の独特のすり切れ方も、ずっと気になっていたのですが、
 
茶綿を紡いでいてその謎?が私の中で解決しました。
 
これらのことを避けて通る一番の原因は、
 
和綿で細い糸を紡ぐのがとても困難だからです。

しかし修練を重ねれば、和綿でも驚くほど細い糸を紡ぐことは可能です。
 
 
今も昔も糸紡ぎは一番大変で、しかし一番大切な仕事です。

昔の糸紡ぎ歌の歌詞などからも充分察することが出来ます。
 
だから私は、安易な道を選ばずに、昔の人がなさったであろうご苦労をなぞるように、
 
世間に胸の張れる、あるいは丹波布の美を発見して下さった柳先生に誇れるような、
 
そんな織りの仕事に邁進したいと、強く思う昨今です。

2017/12/27

2017年丹の布大きな転換の年


今年を締めくくる出来事



年末ボーナス?orサンタさんの贈り物?

早いもので今年も余すところ数日となりました。

今年一年何かとお世話になった皆さんに心より御礼申し上げます。


お世話になりました。



皆さんのお陰で充実した一年を過ごす事が出来ました。

先日その充実した一年を締めくくるような、

思いがけない出来事がありました。


それは今月7日から大阪の「ひふみ民藝店」さんで

丹波布フェアを開催して頂いたのですが、

先日店主の川見さん(兵庫民芸協会理事)がおいで下さいました。

出品していたものの返品のためです。

ところが思いがけずたくさん売れていました。

私のテーブルクロスは完売。

工房のメンバーで伝承館専修生の陽子さんのものも随分売れました。

実はこの丹波布フェアは「丹波布とひふみの忘年会2017」という企画だったのですが、



写真のような陶器類が驚くような安さで特別販売されていました。

だから、正規の値段(工房での価格を下げずに、

ひふみ民藝店さんの利益分をプラスした価格)をつけている布物は売れないかも?

と思っていたので、売り上げの報告を聞いてビックリです。

清算して下さった売上金は特別ボーナス?です。

そして何よりも、

これまで気に入った丹波布に出会えなかったというお客さんが、

お買い求め下さったという事実は、サンタさんの贈り物?です。

地元でのフェアは、少しはおつきあいで買って下さる方があります。

工房に顔を出して下さる方は、主に購入目的でおいで下さる方。

でも「ひふみ民藝店」でご購入下さったお客さんは、そのどちらでもありません。

そういうお客さんが手にとって感触を確かめ、

そして気に入って買って下さったと云うことは、

今年を締めくくるにふさわしい嬉しい出来事です。

新しい年の方針も、これで決定!です。

詰まり今年チョット方向転換した路線を迷わずに歩んでいきます。




(古丹波布、古帛紗の芯に使用されていたようです)



皆さん良いお年をお迎え下さい。

そしてまた新しい年に笑顔でお目にかかれます事を祈っております。

2017/11/28

福永さん丹波へ (思い出の丹波布)


福永さん来丹

 

 
 
私のお師匠さん(福永世紀子先生)が、

過日丹波布復興60周年記念展示会に合わせて丹波においでになりました。


昭和49年、福永さんは、

それまで本綴織りで指名客がつくほどに成っておられたのですが、

それをなげうって丹波に移住されました。

そして私の実家近くに一軒家を借りられて

「棉戯房」と名付けた工房で丹波布を織っておられたのです。


実はその頃、私の母と親しくされており、

私が丹波布を始めた頃母はよく、

四国に帰られた福永さんを訪ねるように私に勧めていました。

しかしその機会を得ぬまま私は丹波布の仕事を続けていたのですが、

ある展示会で、初めてお目にかかる人から「貴女はご存じないかも知れないが、

かつて丹波におられた福永さんの布を思わせるものがありますね」

と声をかけられて驚いたことがありました。

その後、縁あって福永さん宅を訪ねて以降、

私は「自分のお師匠さんはこの人をおいて他には無い」と思うようになりました。

今では年に数回、片道5時間程の道のりですが、

高知県の「棉戯房」を訪ねています。

もちろん電話でお話しする機会はたびたびありますし、

貴重な史料をお借りする事も再々です。





今回の記念展示会には、色んな人のすすめや協力があって、

お師匠さんのサンプル生地もたくさん展示される事になりました。

そして福永さんは、その事よりも、

丹波で修業時代とても厳しい指導をして下さった
 
故藤本均氏(当時大阪在住)のコレクションが多数展示されるというので、

ぜひもう一度それを見たいからと、

私も親しくさせて貰っている地元のお弟子さんお二人と共に来丹されたのです。






当時いち早く福永さんの丹波布こそ本物だと評価されていた

陶芸家・柴田雅章さん(篠山在住・民藝館展審査員)とも

久しぶりの再会となりました。


もちろん母とも再会、

当時の家主さんとも再会を喜び合われるという、

私にとっても嬉しい、有意義な福永さんの丹波帰りの一泊二日でした。

ところで福永さん一行は約束の時間より早い電車で来られて、

その事を私に電話して下さっていたのですが、

その日私は携帯を工房に置き忘れて出かけていました。

それで私は駅で待ちぼうけ、

一行はいち早く展示会場へというすれ違いがあったのですが、

私のおっちょこちょいの所と、

お師匠さんも意外におっちょこちょいの所があるので、

それが重なり合ったすれ違いというオチまでついた、

でもとっても楽しい二日間でした。

2017/11/09

丹波布講演(地元高校で)

 
緊張の1日


 

今朝私は、ようやく緊張から解放された朝を迎えました。

実は昨日、私は氷上高校の『地域未来』という企画で、

二年生(約100人)に丹波布に関する話を一時間ばかりしたのですが、

昨日までは、朝起きるたびにそのプレッシャーに悩まされていました。

だから今朝は爽やかな朝(笑)



講義は、プロジェクターを駆使して、

事前に送っておいた画像なども使いながらのものです。

話の組み立ては、

①「民藝」と言われるものがどういう定義づけで始まっているのか?

②その運動の主唱者「柳宗悦」という人がどのような人なのか?

③そしてその柳宗悦と丹波布がどのように関係するのか?

④更に柳宗悦が調査を依頼した上村六郎のこと。


以上の事柄を通じて丹波布の歴史を語り、

丹波布の未来についても話を進めました。

勿論、郷土をより深く知って貰う企画なので、




技術者としての私が、

今現在この丹波の地で採取されるどのような物を染色材料としているのか?

と云う話もしました。

話のまとめは『受け継がれるべき伝統』についてです。

特に手仕事に関する技術は、より高い技術を追い求めなければ、

時代の波に押し流されるのでは無いのか? などという、

私自身の手仕事とその継承に関する思いを伝えておきました。

話は一時間を過ぎてしまいましたが、

熱心にノートを取りながら聞いてくれる生徒さんがあったり、

話のあとで生徒以外の何人かの関係者から

『目から鱗』だったと感想を伝えられたりしました。

緊張して過ごした数日間の意味があったかも知れません。
 
 



今月18日から26日まで、

丹波の森公苑で丹波布復興六十周年の記念行事が開催されます。

そこにはこれまでほとんど幻のコレクションとされていた

藤本均(故人)さんの丹波布コレクションが60点展示されます。

そしてその藤本さんの指導を受けて、

木綿物に関しては押しも押されもせぬ地位を築かれた、

私のお師匠さん「福永世紀子」先生の丹波布も多数展示されます。

その紹介もしておいたので、

この機会に若い世代が更に多く丹波布に興味を持ってくれたなら、

私は緊張の数日を過ごした甲斐があったという事になるかも知れません。 

2017/10/30

丹波布に導かれて来丹

 
 
・ ・ ・ 嬉しい出来事 ・ ・ ・
 
 
 
 
 
 
工房&ギャラリーと名乗っているいじょうは、

お客さんに来て貰えるのは嬉しいことです。

ただ今年の春以降、

私は大きな方針を立ててギャラリーの品揃えに力を注がなくしています。

仕事の効率があまりに悪くなり、

大きな方針が進んでいかなくなるからです。

だからこれまで年に二回開催していたフェアも休眠、

ある意味での充電期間のような状態です。

ギャラリーとしてはささやかな知名度が更に心細くなるばかりかも知れません。

でもやっぱり土日はいつお客さんにおいで頂いても良いようにとは心がけています。

今日久しぶりにお客さんがありました。

なんと遠く千葉からおいでの60代のご夫婦でした。

そして決して安くないストールと名刺入れをご購入頂き、

更に帯の注文まで頂きました。



前に書いた大きな方針を進めていく為には、

また、お待たせしているお客様もあるなかで、

軽々しくお約束が出来ないので「それなら結構です」

と言われるかも知れないと思いつつ

「三年ばかりお待ち頂けますか?」と答えたら、

なんと「何年でも待ちますよ」と。



どうして千葉からわざわざ・・・と、その理由を尋ねたら、

どうしても丹波布の本場で本物の丹波布に接して、

そして是非コレクションしたかったのだそうです。

たまたまお子さんが海外に出かけられているので、

この時しか無いねと夫婦で話し合い、

そして今日の来丹になったのだそうです。



もちろん最初に丹波布伝承館に顔を出し、

そこで得られた情報であちこち訪ね歩き、

最後の訪問が『丹の布』になったということでした。

そして「やっと出会えた」と仰って頂き、

僅かな品揃えの中からご購入、ご注文まで頂きました。







私は、全国にはまだ間違いなく「丹波布ファン」がおいでになって、

そしてその人は機会を得て遠く足を伸ばして下さり、

気に入ったものと出会えたときは、価格に頓着無く即ご購入下さる・・・と、

そんな事を心強く思わせて頂きました。


目立たなくても良い。


とにかく自分の信じる本物志向を貫く。

そのスタイルをこれからも続ければ良いのだと、

そんな嬉しい感想を持てる出来事でした。

2017/08/29

正攻法こそ最善の道!

 
 
 
『 日々の暮らしの中で 』
 
 
 
 
 
 
 
もちろん「日々の暮らし」と言っても、私の場合は丹波布を織ることの周辺で、
 
ということになるのですが、そんな暮らしの中で
 
なんとなく自問自答していることがあります。
 
それを私の独り言として箇条書きしてみます。
 
 
 
 
 
誰かに聞いた「人間にとって一番の財産は人間関係」という言葉。
 
私もその通りだと思う。
 
    でもそれは、何か打算的に無理矢理作り上げる人間関係では無く、
 
自然発生するものでなくて
 
    は ならないと思う。
 
 
 
 


 
 
 
いつの場合も一番良い「方法」は正攻法。
 
奇抜なことを考えたりしないで、
 
地味でも黙々と正攻 法で歩み続ける。
 
それが最善でさらに最も近道。
 
私は織りを続けながらそれを思う。
 
 
 
 

 
 
 
 
「和布と手作り」という季刊誌が、ネット検索の結果、
 
私の工房「丹の布」を紹介記事として書いて下さった。
 
ああやっぱり自分から無理に売り込んだりしなくても、
 
誰かがちゃんと見てくれているのだと思う。
 
 
 
 
 
 
 
 
それはちょっと誇張しすぎじゃないですか? 
 
それってちょっと嘘が混じってません? 
 
とそんな風に思ってしまうことを平気で喋っている人がいます。
 
残念ながら丹波布の世界でです。
 
私はとても真似が出来ませんが、
 
真似が出来ない私で良かったと思う。
 
 
 
 
 
 
 
 
映画「恐竜の詩」で丹波布に関するシーンが結構あるのだそうです。
 
回り回って、それら全てのシーンは、「丹の布」が舞台ということになりました。
 
そして、その中で女優さん達が着る丹波布の着物は三着とも私の作ったもの。
 
選んで下さった監督さんやスタッフさんに感謝です。
 
 
 


 
 
 
過日、都会で民芸店を営み、
 
とても素晴らしい民芸品を扱っておられる店主が、
 
わざわざ私を訪ねて下さった。
 
民藝の世界で名のある某作家さんの紹介で。
 
色んなお話の中で「腑に落ちる事がたくさんあった」と仰って下さいました。
 
これまで持っておられた丹波布に関する疑問点に
 
上手く答えられたかも知れません。
 
展示会の事を申し出て下さったのも嬉しい話です。
 
 
 
 
 
 
 
丹波布に関わる日々の暮らしの中で、
 
私は人間修行させて貰っているのだと思うことがあります。
 
この一年ばかりは「正攻法こそ最善の道」を噛みしめる毎日だったかも知れません。
 
 
それが①~⑥までの独り言のような私の思いに繋がります。
 
 


2016/11/29

丹波布 変と思うのは私だけ? 丹波布

 
 
 

 
変な感じ・・・そんな風にしか言えません。


Facebookで使用する写真はもちろんシェア自由ですし、

どこかに出品していた自分の作品(丹波布)が

写真に撮られることもあります。

私の作品(丹波布)をわざわざ写真に撮って下さったり、

Facebookでアップした写真をどこかで活用されたりするのは、

考えようによっては嬉しいことでもあります。

でも、他人の写真をいかにも自分が撮影したように装ったり、

私の作品(丹波布)を自分の作品のように

掲載されていたりするのは、やっぱり変な感じです。

ましてそれが公的なサイトに署名入りで

アップされていたりすると尚更です。


昨日『丹波布』で検索していて、

えっ?私の作品!と思ってクリックしたら、

作品は間違いなく私の物だったのですが、

その写真を撮った記憶はありません。

それでその写真から遡っていったら

某公的組織のサイトに某グループ名で私の作品がアップされていました。

その公的サイトとそのグループの両方から、

私の作品(丹波布)が認知されたのだ、と受け止めれば、

結構な事!とも思えるのですが、やっぱり変な感じです。


ところで、今朝テレビを見ていたら、

観光に訪れた外国人がそのマナーの悪さを注意されて、

逆ギレしているところを放映していました。

なんだかその連想で、

私は今回のことも(無断で他人の作品写真を使用するという、

ある意味でのマナー違反だと思うのですが)無視を決め込むことにしました。

今回のブログに使用した写真

(わざわざバックに撮影用のスクリーンまで使ってあるような・・・)が、

私の知らない所で使われている私の作品写真です。

やっぱりなんか変な感じ!です。

2016/10/27

感謝・感謝!


表具と丹波布コラージュ
 
三つの「R」展


 
顔を合わせる人には勿論「有り難う御座いました」と必ず言いますが、

展示会以降、次にお目にかかるまで時間が空いてしまう人には、

ここで心から「有り難う御座いました」。

「丹の布」に新しく加わった若い技術者の布も売れ行きが思いの外よく、

本人達もとても勉強になったと喜んでくれました。




そして今回の驚きは、これまでの展示会とは比べものにならないくらい沢山、

丹波布に関係する人達が来場して下さった事です。

もしかしたら、同業者の認知度合いが上昇しているのか?

と勝手な自惚れ感想に浸っています(^^ゞ

昨年の秋並みには行きませんでしたが、

高価?なストールから小物まで、

そして今回表具師太田さんと協力した端布コラージュの作品各種を、

随分お買い求め頂きました。




 

更には展示会を通じて次の注文を戴けるという、嬉しい展開です。

直前は睡眠時間が極端に少なくなってしまうという

段取りの悪さはいつものことですが、

睡眠時間を削った「甲斐」が実感できたりもします。

まだ公開する話ではありませんが、密かにステップアップのための計画をたて、

それを実行する段階にも入り、或る意味での充実感を味わっていますが、

考えてみれば多くの人の支えがあって初めて叶うことです。

そんな多くの人のお陰を改めて強く感じるのが、展示会後の感想です。

忘れた頃のブログアップですが、


関係者の皆さん、展示会に顔を出して下さった皆さん、協力してくれたスタッフ、

すべての人に心から有り難う!です。

本当に皆さん有難う!

2016/09/14

丹の布・・・工房の充実

 
無謀?にも、丹波布工房&ギャラリー「丹の布」を開設して2年半。

それでも漸く機(ハタ)も二台、インテリアも丹波布工房らしく、

自分好みに整ってきました。




また複数回工房においで下さる人や、

繰り返し纏まった注文を下さる方も増え、

最近は月に一度の『勉強会』も開催できるようになりました。

河井一喜さんの食器を常設して、

それを求めておいで下さるお客さんも増えてきました。

そして、フェアも確実に年に二回開催できています

(表具師の太田さんの協力があっての事ですが)。

関係する皆さんに感謝!感謝です!



工房の充実に伴ってスタッフも整い、

ほんの少しですが仕事をこなしていくスピードも

効率も上がってきたように思います

(そういう事を計画的に進めるのが苦手なんですけど)。



法事の粗供養に!と云う注文は二回目ですが、

今回はテーブルクロスをご注文頂きました。

しかし、他の仕事との関連で期日までの納品が厳しいと判断し、

今回は私がデザインだけを担当し、染色と織りを、

今年から専修生になった新しいスタッフの一人小川陽子さんに御願いしました。

染色も織りも、私のデザインを見事に活かす素敵な仕事をしてくれました。




勿論納品日も余裕を持って迎えられます。

唯の技術者の集まりでは無く、

分担して一つの仕事を仕上げられるのが、民藝としては寧ろ理想。

この調子で頑張らなきゃ!と、


織り上がってきた24枚のテーブルクロスを眺めながら決意新た!です。


2016/05/06

旅立つ「布」



 
毎年流行語大賞というのが年末に発表されますが、

それをテレビで見ていて「なるほどね」と納得することがあります。

最近は余り面白くなくなってきた様な気もするのですが。

その「なるほどね」と納得するというのは、多分素敵な言葉は、

誰かがそれを口にした時にひとり歩きを始める、

その事に対する納得では無いかと思います。

同じように「布」も充分ひとり歩きをしてくれる布があります。

それはやっぱり織り上がった時に自分でとても満足いく布です。

或いはメンバーから預かった時に同じ技術者として

「シッカリ織られているな」と思える布がそれです。


もう既にひと月ほど前になりますが、







がま口を複数ご注文頂きました。

注文主は50代の若い「おばあちゃん」です。

ご自分でお使い頂くがま口と、お嫁さんにプレゼントするがま口と、

そしてお孫さんにショルダーバッグに見立てて持たせるがま口。





特にお孫さんにプレゼントされるものは、おばあちゃんのコーディネート。




旅立つ「布」がひとり歩きを始めてくれる喜び。


これも「物づくり」ならではの喜びです。

柳宗悦が「用の美」と言った「用」は、使われること。

それは言い換えれば「ひとり歩き」出来る物であり、

思いもかけない物に見立てられる、

そんな事も意味しているのでは無いかと私は思う事があります。 

2016/04/17

『用の美』・手仕事


 
柳宗悦の言った『用の美』という言葉は、

他の何物にも代えがたいくらい良く出来た言葉なので、

多くの人が色んな場面で使います。

ただ、この言葉は余程深く考えなければ、

その言葉から抜き差しならない間違いも起こすのじゃ無いか?とも考えます。

とそういう理屈の話ではなく、







昨日依頼を受けて織った布で仕立てられたベストを着て、

工房を訪ねて下さったお客さんがありました。

実はこの布は一度織り上げた後、

どうしても納得がいかなくて糸紡ぎから染色まで全てやり直した布だったので、

喜んで仕立て上がりを見せに来て下さったことがとても嬉しくて、

このブログを書いています。



「用の美」という定義から言えば、織った布は何かに仕立てられ、

そしてそれが喜んで使ってもらえるようでなくては

意味が無いのだと私は考えています。

「織り上げるまでが私の仕事」と、そんな事を真顔で言う人が在りますが、

それは民藝運動を始めた柳宗悦が、丹波布をある骨董市で見かけた事から、

その復元と新しい展開が始まっているのだという事を

無視したことになるのでは?と言うのが私の考えです。

昨日の思いがけない喜びの中での、ささやかな私の主張です。



2016/04/06

丹の布「織風」

 
 
 
 
 
 
織物の世界に「風合い」という言葉があります。
 
『ウィキペディア(Wikipedia)』 には・・・風合い(ふうあい、英:handling)とは、
 
織物や紙などの手触りや肌ざわり、着心地など、
 
人がものに触れた時に感じる材質感のことである。
 
その使用例は、タオルや風呂敷などに関する記述で見られる・・・と
 
解説されています。
 
言葉にしたら確かにその通りなのですが、
 
この説明では何かしら大切なものが抜け落ちていると思って、
 
今月末より始めるワンコイン勉強会で、
 
民藝運動の父と言われる柳宗悦の「民藝とは何か」
 
について講義をして貰う滝川和尚さんに「風合い」について話をしました。
 
そしたら滝川和尚さんが、今から27年前に書かれた
 
「西楽寺読本」の後書きに『風(ふう)の継承』
 
という文章を書かれているのだということを教えて戴き、
 
そしてそれを読ませて頂きました。
 
その書き出しは次のようになっています。
 
 
 
 
・・・・・・ 私は最近しきりに「風」ということについて考えている。
 
曰く「家風」「気風」「作風」或いは「風」が逆に付いて「風格」「風物」「風味」
 
などと使われる「風」に就(つ)いてである。
 
抑々(そもそも)我々が日常口端(くちは)に乗せる「風」という語は、
 
非常に漠然とした言葉である。
 
広辞苑によれば「風」とは、おもむき・あじわい・様子・なにふり・すがた等と
 
その意味する処を羅列してあるが、我々はこれらの全てを含んで、
 
更にそれ以上の曰く言い難(がた)いプラスアルファを
 
意図して「風」という語を使っているのではないであろうか? ・・・・・・と。
 
 
 
 
その他「風景」と「光景」の違いや「気風」と「気性」の違いなどについても書かれていますが、
 
読んでいて思う事は、「風合い」も『ウィキペディア』が説明する
 
「手触り・肌ざわり・材質感」などと云う言葉だけでは無い、
 
言葉にならない何かを含んでいると私は思います。
 
もちろん「色合い」などと云うのも「風合い」を決める一つの大きな要素でしょう。
 
私は前の滝川和尚さんの文章に触れて、
 
技術やセンスだけでは作り出すことの出来ない織物の味わいについて思いを巡らせます。
 
 
 
 
 
それは、『家風』がその家ならではの人格を作り出し、
 
良くも悪くも『社風』が、その会社に勤める人間の独特の雰囲気を作り出すように、
 
「丹の布」ならではの「織り風」というものを作り上げていかなければならないのでは無いかと。
 
今月から始める月に二回の勉強会をなぜ自分が始めようとしたのか、
 
その事が自分の中で改めてはっきりしてきた気分です。
 
 
 



2016/03/29

丹波布☆ストール&ショール展


・・・10日間の展示会を終えて・・・

 

 
浮かれたり有頂天になっている、と誤解を招かないように気をつけながら、

今回のフェアにおいで下さった皆さんや手伝って下さったメンバーへの

お礼を兼ねて結果レポートです。

結論を一言で言えば、工房でのフェアとしては一番良く売れました。

その原因は何なのか? 冷静に正しい現状分析が必要なのだと思います。

ひとつには間違いなくリピーターが増えました。

また、工房をオープンして以降、

工房を通じてお知り合いになった人との関係が深まり、

その人達が自分の友人達を連れて顔を出して下さると云う事が有ります。

その場合は、友達の顔を立てて買って下さると云う事も有るでしょうが、

元々丹波布に興味を持っている人を選んで

連れてきて下さっていると云う事が考えられます。

技術的な問題としては、丹波布の四つの約束事を守りつつ、

大胆に季節に見合ったデザインと織り方を試みたのが、

或る意味で意外性を提供できたのかも知れません。

他の技術者にチョット申し訳無いのですが、

11枚売れたストールのウチ10枚は私の織り上げたものでした。

もちろん、自分の物を積極的にセールスするなどと云うことはしていません。



もしそんな事をしていたら、

常駐して下さったメンバーの気持ちを白けさせる結果にも成るでしょうから。

おいで下さった方の好みをそんなに誘導できるものでもありませんから。

但しストール以外では他の技術者の物も少なからずお買い求め頂きました。



河井一喜さんの陶器類も、

リピーターが目的を持って買いに来て下さったり、

表具師太田嘉久さんとのコラボ額に

目を止めてお買い求めて下さった方もあります。

もぉ何もかも本当に感謝!感謝!です。

そして張り合いが出ると同時に、

尚一層、毎回期待を裏切らない仕事を心がけて


精進していかなければ!と身が引き締まる思いです。

来月からは近しい人達に声を掛けて、

民藝に関する「ワンコイン勉強会」を月に二回開催することにしました。

勉強会の様子なども、ブログかFacebookでご報告します。

Facebookで宣伝して下さった方や、

情報をシェアして下さった方、何度も足を運んで下さった方や、

我が事のように手伝って下さった方々、

一々名前を挙げませんが、本当に有り難う御座いました。

2016/01/19

丹波布・・・命の声を聴く




 
兵庫民芸協会会長で木工作家の笹倉徹さんから頂いた年賀状には

「聴木」と書いてありました。

多分素材である木材の声に耳を傾けるという意味なのだろうと思います。

お目に掛かった際に確認してみようとは思いますけどね。

『手作り』と『工業生産』との違いは何なのか?について、

或る人が、一言で言えばそれは作る側と素材との間に

会話が成立しているかしていないかの差だと、

話されているDVDを見た事が有ります。

何気なく手作りの仕事を続けながら、

敢えてそういう言葉にしての自覚が無かったのですが、

言われてみればその通りだと思います。




綿から糸を紡ぎ出す際には、綿の声を聴く、

糸車の声に耳を傾ける、

紡ぎ出される糸に心の内で声をかける、

とそうとしか言いようのない気持で作業を続けています。

そして整経だとか綜絖(ソウコウ)通しと云う作業の際は、

特に一本一本の糸の声に耳を傾けないと、

作業が雑になったり、その結果つまらないしくじりをしたりすることがあります。

言ってみれば糸に裏切られてしまうと云うのかしっぺ返しを受けるんですね。

そして機(ハタ)に乗せた後は、扱い慣れた機(ハタ)といえども、

シッカリ機の声に耳を傾けなければ成りません。

その態度で臨む時初めて、機と織り手である私との一体感が生まれるのです。




そうでないと機と私の間に微妙な溝が出来て、

作業がちぐはぐしたり、思い通りの布が出来上がってきません。

その仕事に関わる全ての『生命(いのち)』、その生命(いのち)の声に耳を傾ける時、

私が良い布を織り上げるというのでは無く、

全てのいのちが活かされて私に素敵な織物をプレゼントしてくれるような、

そんなことを考えるのです。

今年も倦(ウ)まず弛(タユ)まず、

それら全て織物に関わるいのちの声に耳を傾ける作業を続けていく所存です。





本年もどうぞ宜しくお付き合い下さいますようお願い致します。


 

2015/12/25

丹波布注文・・・悩んでそして感謝して

 
 
注文を戴けるというのはとても有り難い事ですが、

考えてみたら注文の仕事をこなしていくだけで、

ほとんど手元に作品の残らなのが悩みと言えば悩みです。

工房と同時にギャラリーも開設しているのですから、

いつお客さんがお見えになっても

各種自信を持ってお勧めできる作品が無ければ、

と思っているのですが、在るのは縫製を頼んでおいて

出来上がってきた小物類かもしくはメンバーさんの委託作品で、

私のものがほとんどありません(汗)。



12月に入ってギャラリーを閉めているのですが、

今やっている仕事は本来なら年内に納品しなければならない暖簾。



丹波市内の人なら誰でも知っているようなお店の玄関に掛かるモノです。


そしてそれと平行して、



漸く整経を終えた糸は

11月の展示会に頂いた注文のテーブルセンターやランチョンマットになるもの。

詰まり閉館中にしている仕事も、

3月再オープンの時にギャラリーから姿を消しているのです(汗)。

有り難い話でもあり贅沢な悩みでもありますが、

悩みはやっぱり悩みです。

猫の手も借りたいという言葉がありますが、

ウチの飼い猫「ジジ」は、もちろんその手を貸してくれる事はありません(笑)。

挙げ句の果てに昨日、忘れていた注文を思い起こされてしまいました(汗)。




それは11月の展示会に来て下さった

兵庫民芸協会の会長笹倉徹さん(木工作家)からの依頼だったのです。

展示会の際、私のテーブルセンターを褒めて下さったのですが、

それは既に売約済みとなっていました。

そして「また同じモノを織る予定です」と私が答えたら、

笹倉さんが「では楽しみに待っています」と、

そんなやりとりだったのですが、まさかそれが注文だったとは(汗)。

展示会を主催して下さった西楽寺の和尚さんと20年来の友人という事で、

ご夫婦で展示会に顔を出して下さり、

それだけで嬉しく、そしてお褒めの言葉は社交辞令という事もあるだろうから、

割引して受け止めなきゃと考えていたのですが、

なんとご注文頂いていたようなんです(汗)。


『注文』

モノを作る者にとって、それは嬉しい響きの言葉のはずですが、

なかなか現実は随分と私にプレッシャーを掛けてくる

悩ましい響きを持っています(汗)。



多分今年最後になるはずのブログです。

贅沢な悩みと思いつつ、

お世話になった皆さんやお買い上げ頂いた皆さんへ

感謝の意を込めてのアップです。




良い年をお迎え下さい。