2015/05/13

丹波布・糸紡ぎ・・私の紡ぎ分け

 
 
 
 
誰かから聞いた記憶では『糸紡ぎ三年 織り三日』
 
という言葉ですが、言葉の語呂から言えば
 
『紡ぎ三年 織り三日』じゃないかと思います。
 
もちろん説明の必要は無いと思いますが、
 
織物の最も基本となる『糸紡ぎ』は、
 
それ程に難しい!し大切な作業なんだと云う事です。
 
 
初めて機織りをするところを見られる人は、
 
みんな織りの作業を『大変ですねぇ~』
 
とおっしゃって下さいますが、
 
実は機織りそのものは『織り』の最終作業ですから、
 
デザインした物がいよいよ形になっていくという楽しみの方が
 
大きいのです(細かく神経を使う作業には違いないのですけどね)。
 
それに比べれば、織りの最初の作業である『糸紡ぎ』は、
 
或る意味では楽しみも無く、
 
その上、目利きの眼を決してごまかすことの出来ない作業ですから、
 
大変さもついて回ります。


 

 
糸紡ぎの中身(紡ぎ分け)については、
 
じんき(棒状に巻いた綿)の巻き加減(強弱)に加えて、
 
糸を紡ぎ出す際の指先の感触
 
(糸の当たり具合・指先に伝わってくる振動など)
 
と糸車の回転具合など、とても適切な言葉が見つからない
 
超感覚の世界です。
 
 


だから一番肝心な部分は、教えることも教えられることも
 
出来ない世界なのです。
 
それこそ俗に言う盗まなければならない世界です。
 
しかし、用途目的とそれに見合った糸が紡げた際は、
 
作品に見事にそれが反映され、
 
そしてその上、展示会などでは
 
目利きの人に嬉しい反応をして戴けます。
 
それは、手仕事をしている者だけが
 
味わえる『醍醐味』と言っても構わないのかも知れません。
 
ただ単に綺麗な物でも無く、ただ単に目を引くデザインでも無く、
 
手仕事ならではの暖かみを求めて下さる人がある限り、
 
太さや強さそして均一性などで紡績糸に負けない糸の、
 
用途に合った紡ぎ分けを出来なければ!と云うのが、
 
私の糸紡ぎに関する考え方です。




 
 
過日知人のお孫さんが糸紡ぎ体験をして、
 
手にビッショリ汗をかいていたのを微笑ましく思いました。