2016/05/06

旅立つ「布」



 
毎年流行語大賞というのが年末に発表されますが、

それをテレビで見ていて「なるほどね」と納得することがあります。

最近は余り面白くなくなってきた様な気もするのですが。

その「なるほどね」と納得するというのは、多分素敵な言葉は、

誰かがそれを口にした時にひとり歩きを始める、

その事に対する納得では無いかと思います。

同じように「布」も充分ひとり歩きをしてくれる布があります。

それはやっぱり織り上がった時に自分でとても満足いく布です。

或いはメンバーから預かった時に同じ技術者として

「シッカリ織られているな」と思える布がそれです。


もう既にひと月ほど前になりますが、







がま口を複数ご注文頂きました。

注文主は50代の若い「おばあちゃん」です。

ご自分でお使い頂くがま口と、お嫁さんにプレゼントするがま口と、

そしてお孫さんにショルダーバッグに見立てて持たせるがま口。





特にお孫さんにプレゼントされるものは、おばあちゃんのコーディネート。




旅立つ「布」がひとり歩きを始めてくれる喜び。


これも「物づくり」ならではの喜びです。

柳宗悦が「用の美」と言った「用」は、使われること。

それは言い換えれば「ひとり歩き」出来る物であり、

思いもかけない物に見立てられる、

そんな事も意味しているのでは無いかと私は思う事があります。